高遠原:今年もこの季節が来たか……。
朝霧:どうしたの、師匠? 感傷に耽っちゃって。
高遠原:いや、今度のGⅠは阪神ジュべナイルフィリーズだろ?
朝霧:うん。
高遠原:俺にとっては思い出のGⅠなんだよ。
朝霧:へー。どんな思い出があるの?
高遠原:競馬にのめり込むきっかけとなったレースなんだ。
朝霧:ふんふん。
高遠原:1996年の、当時はまだ阪神3歳牝馬ステークスという名前だったけど、このレースをシーズプリンセスからの馬連流しで勝たせてもらったんだ。それからなんだよ、毎週京都競馬場に行くようになって本格的に競馬を始めたのは。
朝霧:のめり込むきっかけになったぐらいだから、結構儲けたんでしょ?
高遠原:どうだったかなあ。勝ったメジロドーベルとの組み合わせが本線だったから掛け金は一番多かったはずだけど、プラス5000円ぐらいじゃなかったかなあ。それでも、当時の俺にとっては結構な額だったよ。
朝霧:5000円なら今の私にとっても結構な額だよ。
高遠原:そうだね(笑)。
朝霧:そうだよ(笑)。
高遠原:機会があったら、このレースの思い出話でもしてみたいね。翌年のレースでは逆に本当に悔しい思いもしたからね。
朝霧:もうちょっとで的中だったのに~! ってことだったんでしょ?
高遠原:まさにその通りだよ。あの頃ワイドがあれば、絶対ワイドで勝負してたんだけどなぁ。
朝霧:ワイドがある今はホントに良い時代になったもんだね(笑)。
高遠原:本当にね(笑)。
という訳で、9回目のレースは2歳女王決定戦阪神ジュベナイルフィリーズ!
朝霧:私みたいなうら若き乙女たちの戦いだね。
高遠原:……。
朝霧:……何よ、その何か言いたげな顔は?
高遠原:馬の2歳は人間で言うと小学生ぐらいなんだけど。
朝霧:……。
高遠原:若いというより幼いと言った方がピッタリかな? あ、それなら結衣ちゃんに当て嵌ま――。
朝霧:うるさいっ!
じゃあ、何、このレースは小学生の女の子の徒競走みたいなレースな訳?
高遠原:そうだよ。
朝霧:あ、そ、そうなんだ……(あっさり肯定されちゃったよ)。
高遠原:そうだよ。だから予想が難しいGⅠでもあるんだよ。何せ子供だから、短期間の間に急成長していたりするからね。大した成績を持っていない馬がここでいきなり大駆けなんてことはよくあるよ。それに騎手が変わっただけで、好走する馬もいるよ。エスコートする人間が代われば、発揮できる能力も違ってくる。これも馬が幼いから、騎手が占めるレースに対する重要度が大きくなるからだと思う。
朝霧:あ、何かこの時点でもう充分難しそうな気がしてきた。
高遠原:さらに言えば、ローテーションも一切不問だね。前走を見ると、重賞から2歳500万下特別戦もあれば2歳500万下平場戦もあるし、休養明け初戦もあれば新馬戦を勝っただけの1戦1勝という成績の馬もいたりする。
朝霧:もう何が何だか分からないね。重要視されるステップレースも無いの?
高遠原:あるよ。GⅢのファンタジーステークスだね。第1回の1着・2着だったシーズプリンセスとスーパードレスがこのレースで2着・3着になったことで注目されるようになったんだ。ただ、ファンタジーステークスを勝ってこのレースで1番人気に推された馬の凡走も結構あるけどね。
朝霧:ますます頭の中がこんがらがってきたよ。
高遠原:でもね、2年前に阪神競馬場に外回りコースができて、このレースも外回りを使用するようになったんだけど、その過去2年は黄菊賞という2歳500万下特別戦で2番人気2着だった馬がこのレースを勝ってるんだ。
朝霧:でも、師匠はそれを偶然と言うんでしょ?
高遠原:うん。
朝霧:じゃあ意味無いじゃん!
高遠原:ごめんごめん(笑)。
朝霧:何か無いの、対策とか?
高遠原:うーん、勝利数も関係無いし……。あえて言うなら、どんなレースでもいいから、何か光るものを見せた馬を買えば良いかな。
朝霧:何か光るものって?
高遠原:牡馬相手に好走した、ゴール前の競り合いで根性を見せた、すごい末脚を見せた、馬群を突き抜けてきた、とかだね。
朝霧:なるほど。
高遠原:あと、距離経験は大事だね。1600m以上のレースで好走しているかどうかも判断材料になるね。
朝霧:でも、予想が難しいことに変わりはないよね。
高遠原:まあね。でも、だからこそ予想のし甲斐があるというもんだよ。荒れることが多いGⅠでもあるし。
朝霧:何か珍しくやる気になってる。
高遠原:珍しくは余計だよ。いつだって全力投球だよ。
朝霧:競馬に関しては、でしょ?
高遠原:……(否定しといた方が良いのかな?)。
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