朝霧:桜の木の下には死体が埋まってるんだよ。
高遠原:何、いきなり。
朝霧:そういう伝説があるよね。
高遠原:伝説じゃないよ。梶井基次郎の『桜の樹の下には』という小説の中の言葉だよ。主人公が勝手にそう思ってるだけだよ。
朝霧:なんだ、つまんないの。
高遠原:「なんだ」って、怖い伝説でも期待してたの?
朝霧:うん。
高遠原:まあ、ライトアップされた夜桜の美しさを見たら、そんな話を信じたくもなるけどね。何と言うのかな、人知を超えた幻想的な美しさだもんね。
朝霧:うんうん。でね、最近思うんだけど、競馬場に咲いてる桜の木の下にはハズレ馬券の怨念が埋まってるんじゃないかって。
高遠原:……。
朝霧:あれ、どうしたの?
高遠原:結衣ちゃんは、時々、訳分からないこと言うね。
朝霧:え、そうかな?
高遠原:そうだよ。
朝霧:……という訳で、桜花賞の考察始めましょう!
高遠原:強引に誤魔化したな。
朝霧:いいから、いいから。今度こそ大儲けして、居酒屋行こうね。
高遠原:はいはい。
じゃ、早速、前哨戦の分析を始めるよ。
朝霧:はーい。
高遠原:まずは阪神ジュベナイルフィリーズを見てみよう。
阪神ジュベナイルフィリーズ
12.2 - 11.0 - 11.9 - 12.2 - 12.3 - 11.8 - 11.1 - 12.4
1着 アパパネ ⑨⑩⑩
2着 アニメイトバイオ ⑥⑦⑦
4着 ラナンキュラス ⑨⑨⑩
5着 シンメイフジ ⑮⑮⑬
6着 タガノエリザベート ⑱⑱⑱
7着 ステラリード ⑦⑧⑧
10着 モトヒメ ⑤③④
11着 ジュエルオブナイル ①①①
高遠原:これが阪神ジュベナイルフィリーズのラップタイムと桜花賞出走馬の着順及び道中の通過順。
朝霧:上位馬は道中後方にいた馬ばかりだね。
高遠原:うん。マイル戦にしては緩い流れだし、しかも縦長の隊列だったから、前に行った馬が有利な展開だったんだけどね。
朝霧:じゃあ、このレースの上位馬は強いってことでいいのかな?
高遠原:いや、その評価は危険だね。
朝霧:なんで?
高遠原:このレースは、先行勢が不甲斐なかったと見るべきなんだよ。その証拠に、先行して4コーナーを通過した馬の人気と着順を見てみるよ。
4角先頭 ジュエルオブナイル 8番人気 11着
4角2番手 パリスドール 18番人気 17着
4角3番手 サリエル 12番人気 15着
4角4番手 メイショウデイム 10番人気 16着
4角4番手 モトヒメ 15番人気 10着
朝霧:うわっ! 見事に人気薄ばっかりで、しかも全馬2桁着順。
高遠原:必ずしも人気イコール実力という訳ではないけど、まあ、総崩れしてもしょうがない馬たちかな。
朝霧:ということは、上位馬が強いんじゃなくて、先行した馬たちが弱かったという訳だね。
高遠原:そういうこと。だからこの一戦で、上位陣は強いと評価するのは危険なんだ。
朝霧:なるほど。
高遠原:じゃあ、前哨戦をどんどん見ていくよ。
朝霧:はい!
フェアリーステークス
12.3 - 10.6 - 10.9 - 11.2 - 11.8 - 12.6 - 12.4 - 13.0
1着 コスモネモシン ③⑦⑥⑦
2着 アプリコットフィズ ③⑥⑥③
高遠原:このレースは、逃げた馬が大逃げした為、とんでもないハイペースになったんだ。この馬が他馬を大きく引き離したとはいえ、後続の馬たちにとってもハイペースであったのは間違いない。中団から4コーナーで先団に取り付いて押し切ろうとしたアプリコットフィズは評価して良いと思う。コスモネモシンに交わされたのは、4コーナー手前で先に動いた分だけだね。
朝霧:桜花賞の有力候補と思っていいの?
高遠原:いいよ。
クイーンカップ
12.4 - 11.0 - 11.6 - 12.1 - 12.1 - 11.7 - 11.4 - 12.1
1着 アプリコットフィズ ④②②
2着 プリンセスメモリー ⑭⑮⑮
7着 ギンザボナンザ ⑧⑤⑥
高遠原:このレースはスローペース。アプリコットフィズが先行して順当に勝ってるね。
朝霧:さっき出て来た馬だね。
高遠原:このレースで注目したいのは、坂上から脚を伸ばして2着に来たプリンセスメモリーだね。
朝霧:この馬も桜花賞の有力候補?
高遠原:うーん、難しいね。現時点では保留ということにしとこうかな。
朝霧:とりあえず保留っと。
チューリップ賞
12.7 - 11.0 - 12.3 - 12.3 - 12.5 - 11.9 - 11.3 - 12.1
1着 ショウリュウムーン ⑨⑦⑤
2着 アパパネ ⑥④③
3着 エーシンリターンズ ③⑤⑤
4着 オウケンサクラ ⑪⑩⑩
7着 ワイルドラズベリー ⑤②②
高遠原:重馬場ということを差し引いても、スローペースの凡戦というべきだろうね。評価に値する馬は特にいないね。
朝霧:4着のオウケンサクラは? 後方から良く追い込んでると思うけど。
高遠原:上がり3ハロンの脚にちょっと不満があるんだ。オウケンサクラの上がり3ハロンは34.6秒で1着のショウリュウムーンが34.7秒。殆ど差がないだろ?
朝霧:0.1秒しか差が無いね。
高遠原:前も楽をしたのは確かだけど、先行した馬と殆ど差の無い末脚しか繰り出せないなら、とても桜花賞の有力候補とは言えないよ。
朝霧:なるほど、納得したよ。
アネモネステークス
12.4 - 11.5 - 11.4 - 12.0 - 12.2 - 12.3 - 11.9 - 11.9
1着 ギンザボナンザ ⑦⑤④③
2着 アニメイトバイオ ④③②②
高遠原:このレースはミドルペースだね。4コーナーで最内と内を通った先行馬のワンツーフィニッシュ。可もなく不可もなくといったところだけど、このレースはメンバーが弱かったと見るべきだろうね。
朝霧:その根拠は?
高遠原:1着のギンザボナンザの走破タイムは1分35秒6なんだけど、これはクイーンカップで7着に敗れた時と全く同じタイムなんだ。
朝霧:7着の時と同じタイムで走って勝っちゃったのか。それなら、相手が弱かったというのも納得だよ。
高遠原:走破タイム自体もたいしたものじゃないしね。桜花賞で買いたいとは思えないよ。もちろん、その馬に負けたアニメイトバイオもね。
フィリーズレビュー
12.2 - 11.0 - 11.8 - 12.1 - 11.8 - 12.0 - 11.9
1着 サウンドバリアー ⑬⑬⑫
2着 ラナンキュラス ⑥⑥④
3着 レディアルバローザ ④③④
6着 モトヒメ ⑨⑥⑦
10着 ステラリード ⑧⑪⑩
高遠原:3ハロン目からペースの変動が少ないワンペースになってるね。後ろから行く馬にとっては少し辛い展開。それを差し切って勝ったサウンドバリアーに注目したいね。
朝霧:「注目」ってことは、桜花賞に向けての評価はひとまず保留ってことだね。
高遠原:よく分かったね。その通りだよ。
朝霧:ふふん。だてに師匠の弟子やってませんよ。
高遠原:弟子という意識があったんだ(笑)
朝霧:ありますよ、もちろん!
高遠原:へー、そうだったんだ。
朝霧:何ですか、疑ってるんですか?
高遠原:そんなことないって。
次が最後のレースだから、一気に見てしまおう。
朝霧:微妙にはぐらかされたような。
フラワーカップ
12.3 - 11.5 - 12.7 - 13.1 - 12.9 - 12.7 - 12.1- 11.7 - 11.3
1着 オウケンサクラ ③③③③
2着 コスモネモシン ⑨⑨⑨⑦
5着 シンメイフジ ①①①①
高遠原:中緩みのスローペースだね。4ハロン目に13.1秒にまでペースが落ちた後は、そこからゴールまで一貫してペースが上がり続けてる。こうなると後ろに位置した馬にはお手上げなんだけど、2着のコスモネモシンは終始外を回り、上がり3ハロン最速の脚で追い込んで来た。これは評価しないといけないね。しかも、出走メンバー中唯一頭55kgを背負ってのものだから価値があるよ。
朝霧:桜花賞の有力候補だね。
高遠原:うん。この馬はそう言って差し支えないね。
朝霧:桜花賞の有力候補が2頭で、評価保留が2頭だね。
高遠原:うん。じゃ、この考察を元に桜花賞の予想を始めますか。
朝霧:はい!
スポンサーサイト