朝霧:ウオッカってお酒だよね?
高遠原:そうだよ。それがどうかした?
朝霧:ん~、別にどうってことじゃないんだけど、お母さんが「大人になってもお酒は飲まない方がいい」って言ってたのを思い出しちゃって……。
高遠原:確かに、お酒で失敗する人は少なくないからなあ。お母さんから結衣ちゃんへの人生の教訓ってやつだね。
朝霧:お酒で失敗って、どんなの?
高遠原:酒が入ると理性の箍(たが)がどうしても緩くなるからね。だから人によっては、暴言を吐いたり、暴力を振るったり、或いは女性にセクハラしてしまったりするんだよ。
朝霧:ふ~ん。
高遠原:そういえば、結衣ちゃんはお酒飲まないの?
朝霧:飲まないよ。お母さんの教訓を守ってるから。
高遠原:今まで一度も飲んだこと無いの?
朝霧:無いよ。
高遠原:へー、今時珍しいね。飲みたいと思ったことは?
朝霧:……無い、よ。
高遠原:本当に?
朝霧:…………。
高遠原:あるんだ。
朝霧:……う、うん。
あのね、「乾杯!」っていうのやってみたい。
高遠原:乾杯? それなら別にお酒でなくてもできるよ。
朝霧:そりゃそうだけど。ほら、あれ、グラスの大きいので取っ手の付いてる――。
高遠原:ジョッキ?
朝霧:そう、それ、ジョッキ。ジョッキをカチンと鳴らして、美味しそうにビール飲むの。あれやってみたい。
高遠原:お母さんの教訓はどうするの?
朝霧:……。
高遠原:冗談だよ。お母さんだって、一度ぐらいは大目に見てくれるよ。
朝霧:うん。そうだよね。一度ぐらいいいよね。
高遠原:よし! じゃあ、天皇賞(秋)で儲けたら、結衣ちゃんを居酒屋に連れてってやるよ。
朝霧:ほんと!?
高遠原:本当だよ。
朝霧:やったー!!
じゃあ師匠、いつにも増して気合を入れて予想してね。
高遠原:うん、頑張るよ。
で、そのウオッカなんだけど――。
朝霧:馬のウオッカの方ね。
高遠原:うん。で、結論から言うと、ウオッカは勝てないと思う。
朝霧:世間では、毎日王冠2着は去年と同じだから心配無いって言われてるけど。
高遠原:確かに去年と同じ毎日王冠2着からの臨戦なんだけど、今年は負け方が去年より良くないんだ。
朝霧:確かに去年はアタマ差で今年は1馬身差だから、着差は広がってるね。
高遠原:うん、まあ、それもあるんだけど、
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