朝霧:淀の坂越え、3000メ~トル~♪
高遠原:えらいご機嫌だね。何かいい事でもあった?
朝霧:菊花賞は、師匠が当ててくれると信じてる~♪
高遠原:そりゃ、当てるつもりで予想するけどね。でもそれは毎回のことだから、菊花賞に限ったことじゃないけど?
朝霧:師匠は、血統の勉強した筈よ~♪
高遠原:あ、ああ、そういえば。
朝霧:「そういえば」? ってことはしてないの?
高遠原:いや、まあ、した、かな? してない? いやいや、ちょっとはした筈。
朝霧:はっきりしなさい! したの? してないの?
高遠原:大丈夫! 予想を当てれば良いんだろ?
朝霧:してないのね?
高遠原:い、いや、今年の菊花賞には血統よりも大事な考えなきゃいけないことがあるんだよ。
朝霧:何よ、それ。
高遠原:展開だよ。
朝霧:展開?
高遠原:そう、展開。
今年の出走馬にリーチザクラウンっていう馬がいるだろ?
朝霧:日本ダービーの2着馬だよね。
高遠原:そう。その馬。その馬が、今年の菊花賞の鍵を握ってるんだ。
朝霧:どういうこと?
高遠原:リーチザクラウンは逃げ馬。
朝霧:知ってるよ。前走の神戸新聞杯は逃げ粘って2着だったんでしょ。きさらぎ賞は逃げて勝ってるし。
高遠原:その通り。きさらぎ賞の時には、差す競馬を覚えさせたい調教師との間で確執もあったみたいだけど、神戸新聞杯を見る限り、気分良くハナに行かせた方が良いという結論に達したみたいだね。
朝霧:それが菊花賞とどう関係するの?
高遠原:つまり、リーチザクラウンは菊花賞でもハナを切って逃げるという戦法を採る筈。
朝霧:そりゃそうでしょ。
高遠原:で、リーチザクラウンの鞍上は武豊騎手。
朝霧:それも知ってる。
高遠原:ということは、リーチザクラウンと武豊騎手が今年の菊花賞のペースを作るという訳だ。
朝霧:そういうことだね。で、何が言いたいの? さっきからさっぱり要領を得ないんだけど。
高遠原:まあまあ、慌てるなって。
ここで、2006年の菊花賞を簡単に振り返ってみるよ。
朝霧:う、うん。
高遠原:逃げたのは武豊騎手騎乗のアドマイヤメインで、最初の1000m通過タイムが58.7秒。
朝霧:速い、よね?
高遠原:うん、速い。菊花賞の1000m通過タイムは60秒ジャストを少し越えるぐらいになるのが普通なんだよ。
ところで、実は去年の菊花賞も1000m通過タイムが58.8秒とハイペースになってるんだ。
朝霧:うん、それで?
高遠原:この2年の菊花賞上位5頭と道中のポジションを見てみると、
2006年 2008年
1着 ソングオブウインド ⑯⑯⑯⑧ 1着 オウケンブルースリ ⑪⑫⑩②
2着 ドリームパスポート ⑥⑥⑥⑦ 2着 フローテーション ⑬⑫⑬⑯
3着 アドマイヤメイン ①①①① 3着 ナムラクレセント ③④③②
4着 メイショウサムソン ④④④② 4着 スマートギア ⑬⑭⑬⑦
5着 アクシオン ⑬⑭⑬⑬ 5着 マイネルチャールズ ⑦⑥④⑥
※ポジションは左から、2コーナー・向正面・3コーナー・4コーナーの通過順位を表す。
こんな感じになるんだけど、何か気付くことはない?
朝霧:中団から後ろに位置していた馬が多いような……。
高遠原:その通り! で、ちょっと分析してみると、2006年はメイショウサムソンの3冠がかかったレースで、アドマイヤメインに騎乗した武豊騎手の至上命題はもちろんメイショウサムソンを勝たせないこと。先行抜け出しが勝ちパターンだったこの馬を負かすには勝負処で距離をおいておく必要があった。
朝霧:ふんふん。
高遠原:武豊騎手が採った戦法はラップタイムを見れば分かる。
12.8 - 11.5 - 11.1 - 11.6 - 11.7 - 11.7 - 12.9 - 12.8 - 12.9 - 13.2 - 13.0 - 11.9 - 11.2 - 12.5 - 11.9
朝霧:1400m辺りから急にペースダウンして、残り800mからまたペースアップしてるね。
高遠原:それこそが、武豊騎手の戦略だったんだよ。前半は他馬を引き離して逃げ、中盤はペースダウンしてラストスパートの脚を溜める。そして、勝負処で早めにスパート。メイショウサムソンは1番人気を背負っていたし、何より自身の3冠達成の為にはアドマイヤメインを交わさないといけないから、釣られて早めにスパート。結果、直線は思った程伸びず、4着に沈んだんだ。
朝霧:メイショウサムソンは武豊騎手の戦略に負けたんだね。
高遠原:うん。アドマイヤメインも3着に粘り切って、さすがは武豊騎手と言うべきだろうね。
で、もう一方の2008年はノットアローンが飛ばして行ったんだけど、3コーナー手前では馬群に飲まれてる。これはただの暴走だね。結果、掲示板に載ったのは、3着のナムラクレセント以外は道中中団から後ろに位置していた馬たちに占められることになる。
朝霧:ナムラクレセントは先行したのによく粘れたね。
高遠原:この馬はスタミナが豊富なんだろうね。今年の阪神大賞典はスタミナが問われるレースになったけど、そこで3着と好走してるしね。
朝霧:ふ~ん。
で、この2つの菊花賞を分析して、何が分かるの?
高遠原:お待たせしました。そろそろ本題に入るよ。
朝霧:うん。
高遠原:今年の菊花賞でペースを握るのはリーチザクラウンと武豊騎手。この馬の気性を考慮すると、前半はそれなりのペースで行かせる筈。恐らくペースを落とすのは2コーナー辺りから。
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