高遠原:21回目のレースは春のマイル王決定戦安田記念!
朝霧:安田記念……、安田さん?
高遠原:そうだよ。
朝霧:え? ほんとに?
高遠原:うん、本当。JRAの初代理事長安田伊左衛門の功績を称えて創設されたレースなんだよ。
朝霧:いざえもん!? 江戸時代の人?
高遠原:いや、明治5年生まれで昭和33年に亡くなってる。
朝霧:明治時代の人か~。それでも大分昔の人だね。
高遠原:まあね。
朝霧:で、どんな人だったの?
高遠原:端的に言えば、馬が好きな人だったんだろうと思う。
朝霧:そりゃそうでしょ。JRAの初代理事長になるぐらいの人なんだから。
高遠原:いや、仕事で競馬に関わっていたというんじゃなくて、純粋に馬が好きだったんだろうなと思うんだよ。
朝霧:何でそう思うの?
高遠原:そう思わせるエピソードが幾つかあるんだよ。例えば、9歳で乗馬を始めていたり、大学入学後も陸軍の乗馬学校に通ってたり、大学を卒業して実家に帰った時のお土産が馬3頭だったり、極めつけに、結婚する時の結納返しに馬を所望したという話もあるんだ。
朝霧:馬好きを通り越して、ちょっと変わった人かも。結納返しに馬って……。
高遠原:新婦の家族もあきれたそうだよ。
朝霧:そりゃそうだよ。で、馬は貰えたの?
高遠原:いや、婚家が用意できなくて太刀を貰ったそうだよ。
朝霧:また全く関係無いものを貰ったんだね。
高遠原:だね(笑)。
で、安田伊左衛門はその後も馬に関する仕事を続け、競馬法の成立に尽力したり、数々の競馬団体に関わっていくんだ。東京優駿をはじめとするクラシックレースの基を作ったのもこの人だよ。
朝霧:え~! じゃあ、日本競馬の礎となった人じゃん!
高遠原:その通り。だから安田伊左衛門は「日本競馬の父」と呼ばれてるよ。
朝霧:日本競馬の父か~。確かにその通りだね。JRAの初代理事長がそんな人だったなんて全然知らなかったな。
高遠原:ちなみに2代目の理事長は、有馬記念でおなじみの有馬頼寧だよ。
朝霧:有馬伯爵だね。
高遠原:うん。蛇足ついでに言うと、有馬記念は有馬頼寧本人が創設して、本人の死後、有馬記念と改称されたものだけど、安田記念は本人の存命中に「安田賞」という名前で創設されたんだ。
朝霧:生きてるうちに、功績が認められたんだね。さすが日本競馬の父。
高遠原:うん。で、本人の死後、安田記念に改称されて今に至るという訳だよ。
朝霧:なるほど。
高遠原:じゃ、前置きが長くなったけど、安田記念の傾向を見ていこうか。
朝霧:うん。
高遠原:まずは、安田記念は荒れることが多いね。ここ10年で1番人気が複勝圏内に来たのは僅かに2頭だけ。1999年2着のグラスワンダーと2003年3着のローエングリンの2頭。
朝霧:勝ったことがないの?
高遠原:ここ10年ではないね。
朝霧:何でそんなに1番人気馬が凡走するの?
高遠原:うーん。このレースが結構難解なレースだからというのもあるだろうね。色んな路線から参加できるレースだし、加えて香港馬の参戦もあるから、混戦の中で押し出された1番人気になるんじゃないかな? 抜けた実力を認められて1番人気になったんじゃなくてね。
朝霧:じゃあ、1番人気の馬は疑ってかかった方がいいの?
高遠原:疑った方がいいかも。
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