高遠原:新年明けましておめでとうございます!
朝霧:!!
高遠原:今年も宜しくお願い致しぐほぉあ!
朝霧:……。
高遠原:あ、あの、げほっ、ゆ、結衣、ごほっ、さん?
朝霧:……。
高遠原:な、何で、いきなひぎぃ~!
朝霧:……。
高遠原:ほ、ほっへらひっはらないへ~。
朝霧:おかしい。
高遠原:何がだよ! 何でいきなり正拳突きされたり、顔つねられたりしなきゃいけないんだよ!
朝霧:どちら様ですか?
高遠原:……、え? あ、あなたの師匠ですけど……。
朝霧:またまた、ご冗談を。
高遠原:いや、あの、冗談じゃなくて、正真正銘あなたの師匠の高遠原孝政ですが。
朝霧:う、うそ!
高遠原:嘘じゃありません。
朝霧:だって、私の知ってる師匠は1月に新年の挨拶なんかしないよ!
高遠原:う、うん、まあ、今まではそうだったから、否定できないけど。
朝霧:そうでしょ。
高遠原:いやいや、だから、今年は心を入れ替えて、早くに挨拶したんだよ。
朝霧:なんだ、そうだったんだ。てっきり悪い霊でもとり憑いたのかと思ったよ。
高遠原:悪い霊がわざわざ新年の挨拶なんかする訳ないだろ。
朝霧:それもそうだね。
高遠原:ところで、結衣さん。
朝霧:何でしょう?
高遠原:私、いきなり殴られたり、つねられたりしたのですが。
朝霧:あ、えーと……。
高遠原:……。
朝霧:許してニャン。
高遠原:……。
朝霧:ダメ?
高遠原:ダメに決まってるだろ!
朝霧:え~! せっかく可愛く言ったのに!!
高遠原:な~にが「許してニャン」だよ、いい歳して!
朝霧:あー! 女の子にそんなこと言う?
高遠原:女の子っていう歳じゃないだろ!
朝霧:あー! 一度ならず二度までも!
高遠原:ふん!
朝霧:許せないよ、師匠。今回ばかりは。
高遠原:……。
朝霧:いつまで経っても、通算収支がプラスにならないくせに!!
高遠原:え? いや、まあ、そ、その通りです、が……。
朝霧:私の大事な生活費を何だと思ってるの!
高遠原:え? い、いや、ちょ、ちょっと結衣さん――。
朝霧:いつも師匠を信じて馬券買ってるのに!!
高遠原:あの、話がだいぶ逸れて――。
朝霧:今年こそは、プラスにしてくれるんだよね!
高遠原:も、もちろん、そのつもりだよ。
朝霧:「つもり」じゃなくて、「する」って言いなさい。
高遠原:は、はい。し、します。
朝霧:誓ってよ。私に。
高遠原:……。
朝霧:嫌なの?
高遠原:そ、そういう訳じゃ――。
朝霧:なんで目を逸らすの?
高遠原:(怖いからです)べ、べつに逸らした訳じゃ――。
朝霧:私の目を見て誓いなさい。
高遠原:こ、今年こそは、つ、通算収支を、か、必ず、プラスにします。
朝霧:絶対ね。
高遠原:は、はい。
朝霧:良くできました。
高遠原:……。
朝霧:じゃあ、師匠。今年も頑張ろうね!
高遠原:(この変わり様が逆に怖いよ)
朝霧:どしたの?
高遠原:い、いや何でもないよ。頑張るよ。
朝霧:うん! 期待してます!!
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