中京競馬場リニューアル後の過去3年の高松宮記念を振り返ってみる。
2012年 良
12.2 - 10.6 - 11.7 - 11.6 - 11.7 - 12.5(34.5 - 35.8) 1.10.3
1着 カレンチャン ②②
2着 サンカルロ ⑩⑫
3着 ロードカナロア ④④
2013年 良
11.9 - 11.0 - 11.4 - 11.2 - 11.0 - 11.6(34.3 - 33.8) 1.08.1
1着 ロードカナロア ⑨⑦
2着 ドリームバレンチノ ⑫⑪
3着 ハクサンムーン ①①
2014年 不良
12.1 - 10.7 - 11.7 - 11.9 - 12.6 - 13.2(34.5 - 37.7) 1.12.2
1着 コパノリチャード ②②
2着 スノードラゴン ⑬⑬
3着 ストレイトガール ⑦⑧
同じコースで行われたのがまだ3回しかない為、データとしての信憑性には欠けるかもしれないが、概観しておく意義はあるだろう。
2012年優勝馬カレンチャン、2013年優勝馬ロードカナロアは共にスプリント戦線で活躍した名馬であり、JRA賞の最優秀短距離馬に選ばれている。さらに後者は年度代表馬にも選定された。2014年の優勝馬コパノリチャードはその後勝利を収めていないが、2着馬スノードラゴンと3着馬ストレイトガールは、同年のスプリンターズステークスで1着、2着となった。実力がそのまま結果に反映される、春のスプリント王決定戦に相応しいレースとなっていると言って差し支えないだろう。
逃げ・先行、差し、追込それぞれの戦法の馬が満遍なく馬券圏内に来ているが、追込馬は2着迄。以前のコースに比べて直線が長くなったといえども、追込一手で勝ちきるのは難しいようだ。前半3ハロンのラップタイムが34秒台半ばという、6ハロン戦としてはそう速い流れにはならない事も一因だろう。
また、走破タイムを見れば、スピード一辺倒の馬よりもある程度パワーも兼備している馬に分が有りそうだ。
高遠原:22回目のレースは春のグランプリ宝塚記念!
朝霧:上半期最後のGⅠか~。早いな~。
高遠原:早いね。そしてこの宝塚記念でこのブログも総てのGⅠを経験したことになるね。
朝霧:そっか、そうなるんだ~。最後に残ったGⅠなら、有終の美を飾りたいね。
高遠原:もちろんそのつもりだよ。
朝霧:頑張れ、師匠!
高遠原:おう!
朝霧:ところで、宝塚記念の宝塚は人の名前じゃないよね?
高遠原:うん、人名じゃなくて地名。兵庫県宝塚市のことだよ。
朝霧:宝塚劇場があるトコ?
高遠原:そう、その宝塚市。
朝霧:何で宝塚市なの?
高遠原:え? 阪神競馬場があるからだよ。
朝霧:えー! そうだったんだ!! てっきり阪神競馬場って大阪にあるんだと思ってた。
高遠原:そう思ってる人が少なからずいるけど、兵庫県宝塚市にあります。
朝霧:それで宝塚記念なのか。納得。
高遠原:納得した所で、宝塚記念の傾向を見ようか。
朝霧:うん!
高遠原:まず、前走は天皇賞(春)・金鯱賞・安田記念組が有力だね。ここ10年の複勝圏内に来た30頭のうち24頭がこれらの組からだよ。
朝霧:後の6頭の前走は?
高遠原:目黒記念とか有馬記念とか駒草賞とか鳴尾記念とか海外のレースとかだよ。
朝霧:とかとかばっかりで、結構あるじゃん。
高遠原:気にする程じゃないよ。駒草賞は3歳馬限定レースでしかも現在は廃止されてるレースだし、鳴尾記念は開催時期がよく変わる重賞で、前走鳴尾記念3着のステイゴールドが宝塚記念でも3着になった当時の鳴尾記念は6月開催だったんだ。現在は12月開催だから、条件は全く違うんだよ。
朝霧:なるほど。
高遠原:有馬記念と海外のレースは例外扱いできるから、実際には目黒記念を少し気にすればいいぐらいかな。
朝霧:どっちにしろ、天皇賞(春)・金鯱賞・安田記念組を中心に考えれば良さそうだね。
高遠原:そういうこと。
朝霧:着順は?
高遠原:前走3着以内と言いたいところだけど、この条件は近年変わりつつあるんだ。
朝霧:前走着順が悪い馬の巻き返しが多くなってるってこと?
高遠原:そうなんだよ。2003年までは前走3着以内の馬しか複勝圏に来れなかったんだけど、2004年にリンカーンが天皇賞(春)13着から3着に巻き返したのを皮切りに、2005年はハーツクライが天皇賞(春)5着から2着に、2006年はナリタセンチュリーが天皇賞(春)12着から2着に、バランスオブゲームが安田記念17着から3着に、2008年はインティライミが金鯱賞7着から3着にそれぞれ巻き返してる。
朝霧:2006年は特に極端だね。
高遠原:この年は阪神競馬場改修工事のため京都競馬場で行われたから、度外視してもいいかな。
高遠原:21回目のレースは春のマイル王決定戦安田記念!
朝霧:安田記念……、安田さん?
高遠原:そうだよ。
朝霧:え? ほんとに?
高遠原:うん、本当。JRAの初代理事長安田伊左衛門の功績を称えて創設されたレースなんだよ。
朝霧:いざえもん!? 江戸時代の人?
高遠原:いや、明治5年生まれで昭和33年に亡くなってる。
朝霧:明治時代の人か~。それでも大分昔の人だね。
高遠原:まあね。
朝霧:で、どんな人だったの?
高遠原:端的に言えば、馬が好きな人だったんだろうと思う。
朝霧:そりゃそうでしょ。JRAの初代理事長になるぐらいの人なんだから。
高遠原:いや、仕事で競馬に関わっていたというんじゃなくて、純粋に馬が好きだったんだろうなと思うんだよ。
朝霧:何でそう思うの?
高遠原:そう思わせるエピソードが幾つかあるんだよ。例えば、9歳で乗馬を始めていたり、大学入学後も陸軍の乗馬学校に通ってたり、大学を卒業して実家に帰った時のお土産が馬3頭だったり、極めつけに、結婚する時の結納返しに馬を所望したという話もあるんだ。
朝霧:馬好きを通り越して、ちょっと変わった人かも。結納返しに馬って……。
高遠原:新婦の家族もあきれたそうだよ。
朝霧:そりゃそうだよ。で、馬は貰えたの?
高遠原:いや、婚家が用意できなくて太刀を貰ったそうだよ。
朝霧:また全く関係無いものを貰ったんだね。
高遠原:だね(笑)。
で、安田伊左衛門はその後も馬に関する仕事を続け、競馬法の成立に尽力したり、数々の競馬団体に関わっていくんだ。東京優駿をはじめとするクラシックレースの基を作ったのもこの人だよ。
朝霧:え~! じゃあ、日本競馬の礎となった人じゃん!
高遠原:その通り。だから安田伊左衛門は「日本競馬の父」と呼ばれてるよ。
朝霧:日本競馬の父か~。確かにその通りだね。JRAの初代理事長がそんな人だったなんて全然知らなかったな。
高遠原:ちなみに2代目の理事長は、有馬記念でおなじみの有馬頼寧だよ。
朝霧:有馬伯爵だね。
高遠原:うん。蛇足ついでに言うと、有馬記念は有馬頼寧本人が創設して、本人の死後、有馬記念と改称されたものだけど、安田記念は本人の存命中に「安田賞」という名前で創設されたんだ。
朝霧:生きてるうちに、功績が認められたんだね。さすが日本競馬の父。
高遠原:うん。で、本人の死後、安田記念に改称されて今に至るという訳だよ。
朝霧:なるほど。
高遠原:じゃ、前置きが長くなったけど、安田記念の傾向を見ていこうか。
朝霧:うん。
高遠原:まずは、安田記念は荒れることが多いね。ここ10年で1番人気が複勝圏内に来たのは僅かに2頭だけ。1999年2着のグラスワンダーと2003年3着のローエングリンの2頭。
朝霧:勝ったことがないの?
高遠原:ここ10年ではないね。
朝霧:何でそんなに1番人気馬が凡走するの?
高遠原:うーん。このレースが結構難解なレースだからというのもあるだろうね。色んな路線から参加できるレースだし、加えて香港馬の参戦もあるから、混戦の中で押し出された1番人気になるんじゃないかな? 抜けた実力を認められて1番人気になったんじゃなくてね。
朝霧:じゃあ、1番人気の馬は疑ってかかった方がいいの?
高遠原:疑った方がいいかも。
高遠原:20回目のレースは、競馬界の大一番東京優駿!
朝霧:とうきょうゆうしゅんっていうのが、ダービーの正式名称なの?
高遠原:そうだよ。
朝霧:オークスもそうだったけど、正式名称よりも通称の方が通りがいいよね。
高遠原:通りがいいから通称なんだよ。
朝霧:あ、そっか。
高遠原:ちなみに、東京優駿の通称は日本ダービーだからね。
朝霧:日本が付かないとだめなの?
高遠原:ダービーというのは、元々イギリスのダービーステークスのことを言うからね。東京優駿は日本のダービーステークスという意味合いだから、やっぱり日本は付けた方がいいね。
朝霧:ふ~ん。
じゃあ早速日本ダービーの傾向を教えて。
高遠原:了解。まあ、ダービーも――。
朝霧:日本ダービー!
高遠原:……あ、ああ、日本ダービーもオークスが前走桜花賞組を中心に考えれば良かったように、前走皐月賞組を中心に考えればいいね。
朝霧:ふんふん。
高遠原:但し、オークスにおける桜花賞組ほど信頼はできない。ここ10年で皐月賞組が複勝圏内を独占したのは1999年の1回のみ。逆に皐月賞組が複勝圏内に1頭も入れなかったのは、2002年と2004年の2回ある。
朝霧:やっぱり男より女の方が信用できるんだね。
高遠原:いや、それは……、って、何の話だよ?
朝霧:言ってみただけだよ。
高遠原:……。
朝霧:皐月賞組がそんなに信用できないなら、他の路線から来た組が活躍してるってことだよね?
高遠原:そういうことだね。他の路線組でダービーで――。
朝霧:日本ダービー!
高遠原:……、日本ダービーで複勝圏内に来た馬はここ10年で15頭いる。具体的には、NHKマイルカップ組が5頭、青葉賞組が4頭、京都新聞杯組が3頭、プリンシパルステークス組が1頭。
朝霧:2頭足りないよ。
高遠原:1頭は2007年1着のウオッカ。この馬は前走が桜花賞。
朝霧:あ、そうだった、そうだった。
高遠原:もう1頭は、2001年3着のダンシングカラー。この馬は前走ベンジャミンステークス。
朝霧:ベンジャミンステークス? そんなレースあったっけ?
高遠原:2006年を最後に廃止されたんだ。
朝霧:そうなんだ。じゃあ、この2頭は例外扱いでいいんだね?
高遠原:うん。
朝霧:ということは、皐月賞組を中心に、NHKマイルカップ・青葉賞・京都新聞杯・プリンシパルステークス組の力関係を計ればいいんだね?
高遠原:そういうこと。
朝霧:着順は気にした方がいいの?
高遠原:皐月賞組は1桁着順であれば問題ないよ。他路線組は3着までが条件となるね。例外は2007年2着のアサクサキングス1頭のみ。この馬はNHKマイルカップで11着だったんだけど、今にして思えば長距離に適性があったから、1600m戦で惨敗したのは仕方がなかったね。
朝霧:ふんふん。だいたい分かってきたよ。
高遠原:こんなもんかな。ダ、日本ダービーで気を付けることは。
朝霧:今週もビシッと当てて連勝といきたいね。
高遠原:うん。頑張るよ。何せ競馬の祭典だからね。
朝霧:お祭、お祭! 競馬場に神輿が出るんだね。
高遠原:出ないよ!
高遠原:19回目のレースは、春の3歳女王決定戦優駿牝馬!
朝霧:ゆうしゅんひんば? オークスじゃないの?
高遠原:オークスの正式名称が優駿牝馬なんだよ。
朝霧:ふーん。でも、オークスの方が通りがいいよね。
高遠原:そうだね。たけど個人的には優駿牝馬の方が好きかな。牝馬の中で一番の優駿を決定するレースというのが良く分かるしね。
朝霧:そういえば、オークスって、どういう意味?
高遠原:樫の木のことをオークというから、オークスもそうだと思ってる人が多いけど、実は違って、イギリスでこのレースが初めて行われた場所の領地の名前からオークスステークスと名付けられたんだ。
朝霧:じゃあ日本でもオークスステークスって言えばいいのにね。
高遠原:それを何故か略しちゃったんだね。
朝霧:なんだかなぁ。
高遠原:レース名の意味が分かったところで、このレースの傾向を見ていくよ。
朝霧:はい。
高遠原:このレースは牝馬クラシックレースの一つで、牝馬三冠ロードの二番目になる。ということで、クラシックレースで牝馬三冠ロードの最初のレースだった桜花賞からの参戦が多い。
朝霧:ということは前走桜花賞組が強いってこと?
高遠原:まさにその通り。ここ10年で複勝圏内に前走桜花賞組が1頭も来なかった年は1度も無いんだ。逆に1着から3着までを独占したのは4回、掲示板を独占したのは2回ある。
朝霧:じゃあ桜花賞を中心に考えればいいってことだね。
他に有力なレースは?
高遠原:トライアルのフローラステークスとスイートピーステークス。それに残念桜花賞と呼ばれる忘れな草賞だね。ただ、この3レースに関しては3着以内に来ていることが条件になる。
朝霧:上位に来てる馬でないとここでは通用しないってことだね。桜花賞の着順は気にしなくていいの?
高遠原:気にしなくていいよ。桜花賞2桁着順からの巻き返しもあるぐらいだから。例を挙げると、2000年3着のオリーブクラウンは桜花賞10番人気10着、2003年2着のチューニーは桜花賞9番人気12着、2006年2着のフサイチパンドラは桜花賞2番人気14着だったんだ。
朝霧:へ~。桜花賞で人気が無くて着順も良くない馬でも巻き返して来れるんだね。
高遠原:そういう馬はここでも人気が無いから波乱の立役者になるね。ちなみにオリーブクラウンは16番人気、チューニーは13番人気、フサイチパンドラは5番人気だったね。
朝霧:フサイチパンドラは桜花賞でも2番人気だったから、人気を落としたといっても5番人気だったんだね。
でも何でこんな